「−8」の怪 障害者自立支援法を総括してみる(4)

私自身が、障害者自立支援法の中で、もっとも首をかしげる取り決めの一つは、日中活動の支給決定の上限の設定である。障害者自立支援法では、介護給付の日中活動は、最大「その月の日数−8」しかでないことになっている。この規定は、障害者自立支援法の詳細が決まるに従って出てきた規定であるが、この規定については、なぜ、なんの目的での説明が論理的にできない。

 障害者自立支援法になり、それまで月割で出されていた報酬額が日割りになった。そうすると、日中活動施設は、月の開所日数をできるだけ「−8」の日数開所し、報酬を最大限得ようとする。そうすると、イレギュラーに土曜日に開所が行われたりする。

 さらに、障害者自立支援法のもう一つの特徴に、昼夜のサービス区別をしたことがある。24時間の施設は制度上(報酬上)はなくなり、昼のサービスと夜のサービスが分かれた。ところが、昼のサービスは月のうち8日間は保障されない。もともとの入所施設で暮らしている人は、8日間は対象にならず、その8日間に関しては、夜のサービスが昼もサービスを行うことになる。

 障害者自立支援法の一つの大きな目標が、【働く】を保障することであるならば、働くことを準備するための施設と位置づけられる就労継続や就労移行ですら、「−8」ルールが存在している。もし仕事が忙しかったら、土曜日に出勤することもあるだろう。一律にどうしてこのようなことが決められたのであろうか。

 常にケアの必要な人の場合、「−8」では支給決定量が足りない方もおられる。その場合は、結局、他のサービスや地域活動支援センターを組み合わせる必要がでてくる。

 「報酬の日割り」(これはまた別に)自体を絶対に評価できないものとは思わないが、「日割り」×「−8」は、財政的抑制しかその要因としては考えられない。介護保険とは違い、障害者支援の場合、財政的にも、地域福祉サービスの日中活動における割合や重要性が高い。それは障害者福祉が歩んできた歴史から生み出されてきたもので、それは単に、デイアクティビティサービスではない。「−8」には、お一人お一人の生活が先にあって、その生活を支えるという思想がない。日中活動のサービス種別そのものよりも、私はこの「−8」支給決定ルールに、障害者自立支援法の言い逃れようのない財政抑制の背景を思う。