障害程度区分について−障害者自立支援法を総括する(3)

 さて、障害者自立支援法の具体的な内容のことについて、話を進めていく。こうなってくると、結構、現場モードになる(苦笑)
 障害程度区分は、障害者自立支援法の導入にあたり、もっとも政治的なものだっと評価できるように思う。なぜならば、支援費制度から障害者自立支援法の移行に辺り、国が繰り返し述べていたのは、支援費制度の地域格差に対する批判であり、その実、地域や個人による給付・サービスの格差を問題として、全国一律の給付基準、その透明性を担保した新しい制度の導入するとしたからである。
 それが、この介護保険とほぼ同様の障害程度区分の認定作業である。
 結果、どうだったのだろうか。
 まず、「グランドデザインの通信簿」でも書いたように、導入時の目的を障害程度区分は達成できなかった。つまり、地域格差の解消には全く寄与できなかったのである。介護保険導入時も、判定の全国的なばらつきは存在した。特に、二次判定での変更については、かなりの割合で行われており、その後の改正にあたり、二次判定での変更についてのルールがどんどん作られた。その意味では、はじめから障害程度区分認定システムでは全国一律の仕組みが形骸化することはわかっていた。
 また、介護保険の認定システムの変更の歴史をみれば、認知症の方の判定の付加的対応の仕組みから、知的障害者精神障害者の判定が軽度化することはわかっており、たとえ、79項目に27項目をつけくわえても、その問題の根本的な解消にはならないことはわかっていた。
 さらに、介護保険との統合を前提にこのシステムを導入したとして、その前提が崩れたときに、障害程度区分は給付額と連動しないものと化した。国庫負担基準額との関係性は残ったが、区分間の流用という仕組みが残ったことなどを考えるとその実、ほとんどなんの役にもたっていない。生活介護などの報酬単価に障害者自立支援法の重度者への傾斜報酬の思想が反映されているが。
 軽度者の重度対応サービスの摘要制限機能としてしか機能していない。
 一方で、この仕組みは多額の費用がかかっている。その額は定かではないが、介護保険が、認定システムに年間400億円かかっているそうである。訪問調査、医師の意見書、審査会の開催、システムにかかる費用は、介護保険と同じく使われている。人数と頻度が違うので、400億にはもちろんならないが、数十億の費用が全国で年間使われていると想像できる。介護保険の方でもこの仕組みに対して、無駄遣いではないか、不必要ではないか、という意見もでてきている中、ほとんど役にたたないシステムは必要ないだろう。
http://blog.livedoor.jp/masahero3/archives/51335121.html
http://blog.goo.ne.jp/sirasawamasakazu/e/9265e4f305f4b5ea54085fced02b32c9