グランドデザインの通信簿(後)

 これで、グランドデザインで示された内容のそれぞれの通信簿は終了です。
 通信簿を作ってみての感想やそのものについてのまとめをもう1回グランドデザインの通信簿(裏)でアップしたいと思っています。その中で、もう少し詳しく書きますが、グランドデザインに書かれていて、障害者自立支援法には反映されなかったものも結構ありますよね。その中には、個人的には実現してほしかったものもあるなぁ。



(2)ライフステージに応じたサービス提供

 【政策目標】  
  ○  就労等による社会貢献・自己実現を図る青壮年層の就労支援を進めるため、再編された施設・事業のサービス体系の下、「雇用施策と連携」を図りつつ、個々人の適性を踏まえ明確な目標を持った計画的な取り組みに基づき計画的に就労につなげる体制を確立する。
→就労継続支援A型については、H20.4に全国269事業所。企業の参入が進み、福祉工場の数からすると参入はとても進んだ。大きな意味で、ひとつの形としては成功したといえるだろう。
→就労移行支援についても、まだ、なかなか成果が上がったとは実数的には、いえないが明確な目的化の事業所としてのすべりだしは上場である。
→一方で、就業・生活支援センター事業については、整備やその機能がなかなか生かされているとはいえず、「雇用施策と連携」という意味で、福祉側の「就労移行支援事業」「就業・生活支援センター」と公共職業安定所の役割が不明確で、雇用施策と連携は手付かずのままという評価である。進んでいる地域は、これ以前から進んでいた。

 【見直しの具体的な内容】
 1) 雇用施策と連携のとれたプログラムに基づく就労支援の実施
 ○  既存の授産施設、更生施設等を、就労移行支援事業、要支援障害者雇用事業等に再編し、雇用施策との連携を強化することにより、障害者の意欲と能力に応じて職業生活を設計・選択できるような支援体制を確立する。
 →就労移行支援事業、就労継続支援A型
○  就労移行支援事業については、障害者就業・生活支援センターとの併設を積極的に進める。
→これについては、報告書をみたことがないがどうなのだろうか。
就労移行支援事業所は全国で1100箇所超(H20.4)一方で就業・生活支援センターは200箇所程度。併設は積極的な施策展開だったのだろうか。

○  障害者自らがその意欲と能力に応じて職業生活を設計・選択できるよう、雇用、福祉、教育等の関係機関からなる総合的な相談支援体制を充実し、一人ひとりに合った総合的な支援プログラムを作成・実施するとともに、地域資源の連携強化を図るため、雇用・就業に関する地域の相談支援窓口としての公共職業安定所の機能を強化する。あわせて、市町村が公共職業安定所と連携を図り、地域で生活する障害者の就労支援を進めるよう、その責務を明確にする。
○  雇用部門と福祉部門が共通で活用できる雇用・就業に向けた職業評価手法を検討する。
→おそらく、H18.8に発表された「就労移行支援のためのチェックリスト」などがこれにあたるのだろう。
 2) 極めて重度の障害者に対するサービスの確保
○  常時医療のニーズも高い又は強度の行動障害がある極めて重度の障害者については、そのニーズに応じ複数のサービスを包括的に提供できる仕組みを設ける。
→重度障害者等包括支援事業のこと。
全国で利用者が30人未満。事業所が10箇所以下の事業などいうまでもなく大失敗。

○  上記に該当する極めて重度の障害者は、障害者施設体系の見直し(精神は病床の機能分化)を通して、入所・入院中も障害状態に応じた適切な処遇を受けられるようにする。その際、疾患等により取り扱いが異なっている現状を改め、公平な入所・入院処遇の確保を図る。
→これに関してもまったく手付かず。自立支援法の運用上も結局は課題にもあげられず。

 3) 障害児施設、事業のサービス体系の見直し
 ○  障害児施設に係る事務の実施主体を見直す際に併せて、障害児施設について、障害者の施設体系の見直しに準じて、既存の施設を生活療養施設型、機能訓練型、子育て支援型等に再編する。この場合、被虐待等の権利擁護が必要な場合に対応できる機能も確保する。
社会保障審議会などで、検討。実施にまではいたらず。子育て支援との整理は中途。権利擁護についても、障害者虐待防止法などが頓挫し進まず。


 ○  また、施設の再編と併せて、障害者と同様に、個別給付の他、障害児の特性に合った地域生活支援事業を整備する。
→実施されず。
○  年齢が18歳を超えて入所している者については、現在、児童福祉法に基づきサービスの提供を受けているが、今回の障害者の施設、事業体系の見直しにあわせて、障害者として、当該施設等でサービスを受けることを可能とし、費用を支弁する仕組みとする。
→一部実施

(3)良質な精神医療の効率的な提供
○  新規に入院する患者については、入院中の処遇の改善や患者のQOL(生活の質)の向上を図りつつ、できる限り1年以内に速やかに退院できるよう、「病床の機能分化」を図り、良質な精神医療を効率的に提供する体制を整備する。
→病床の機能分化は実施し始めている

○  精神科救急について、現行の一般救急システムと同様に、輪番制など二次医療圏単位での既存体制に加えて、地域ごとの社会資源を活かして、中核的なセンター機能を持つ救急医療施設の整備を進める。また、その評価結果を支援内容に反映する仕組みを設ける。
→報告書はでたが、実際は未実施?

○  医療デイ(ナイト)ケアや訪問看護については、通所型社会復帰施設やホームヘルパー等の利用者との病状や必要な支援等の違いの有無について分析を行いつつ、医療の必要性の高い重度者等に段階的に重点化を図る。
→議論はしていたのを知っているが、その後、これもどうなったんだろう?○  精神科の特性を勘案しつつ、医療に関する広告規制の緩和や、医療団体によるガイドライン作成などの自主的な取り組みをさらに促す。また、既存の第三者による評価を推進する。
→未実施
→退院促進事業は都道府県の地域生活支援事業になったが、結局その評価はどうなのか。
精神医療や福祉のあり方についての報告書などはでたが、実際には、地域移行は全体として進んでいない

(つづく)