グランドデザインの通信簿(中)

遅くなりました。ほんとうは、前・後・裏と思っていたのですが、ちょっとながくなったので、「中」で。


2 新たな障害保健福祉施策体系の構築

(1)障害保健福祉サービス体系の再編
・ 総合的な自立支援システムの構築については、当初の目標とほぼ遜色なく、構築することができたと評価できよう。(→ただし、この能力別のシステム構築が権利条約と根本的に相容れないため、今後問題になるだろう)
 【見直しの具体的な内容】
 1) 総合的な自立支援システムの構築
 ○  身体・知的・精神等の障害共通の仕組みとして、障害程度等に応じて、次のような給付・事業が提供される総合的な自立支援システムを構築する。
→介護給付、訓練等給付、地域生活支援事業という枠組みは、法律導入まで堅持された
 ○  個別給付(障害者介護給付、障害者自立支援給付)を利用する場合には、個々の障害者の適性を踏まえ明確な目的を持った適切な支援が行われるよう、市町村又は委託を受けた相談支援事業者による事前のアセスメントと定期的な再評価を受けて行われるものとする。
→106項目の障害程度区分の聞き取り勘案にのみ終始し、アセスメントやモニタリングが行われているとは言い難い ○  複数のサービスが必要な者、長期入所・入院から地域生活に移行する者など計画的なプログラムに基づく自立支援を必要とする者等に係る個別の「自立支援計画」の策定費として支援計画策定費を給付する。
→対象者の著しい限定になった

 ○  個別給付以外のサービスを受ける場合についても、相談支援事業者の適切な支援を受けられる体制を整えるとともに、サービス事業者の適正な運営が確保されるよう、利用者に関する基準の明確化、市町村や相談支援事業者によるサービス事業者の評価などの仕組みを設ける。
→これについては、全くといっていいほど行われていない。 ○  地域生活支援事業のうち、地域相談支援、移動介護、コミュニケーション支援等、特に全国的に行われる必要のある基本的な事業については法定化する。
→相談支援、移動支援、コミュニケーション支援、地域活動支援センターについては義務化したが、実際は実施されていない自治体も少なくない。
 ○  地域生活支援事業の財源については、市町村・都道府県の創意と工夫がより活かされるとともに、地域間の取り組みの差異が調整できるような、現行の補助制度とは異なる国費の支払制度も検討する。
 →包括補助金払いだが、人口割り算定式のため、サービスをたくさん行っていた自治体は、歳入難。

 2) 障害者の施設、事業体系や設置者、事業者要件の見直し
   (通所・入所施設等の再編)
○  既存の施設を、生活療養(医療型)・生活福祉(福祉型)、自立訓練(機能訓練、生活訓練)、就労移行支援、要支援障害者雇用等の機能に応じ事業として再編し、それぞれの事業ごとに標準的な支援プログラムを整備する。
→【通所】措置・支援費時代の33種別が、6種別に再編○  再編後の事業の実施主体については、社会福祉法人の他、NPO法人等広く運営可能となるよう法的な整備を図る。
→二種事業にされたため、営利法人、NPO法人など広く参入がなされた。また、小規模作業所は多く、新体系に移行。就労継続施設A型など企業も多く参入。基盤整備の規制緩和という方向では成功。
○  就労移行支援型の事業については、企業等での就労へ円滑に移行するという明確な目的のために期間を定めた効果的な支援を行うことを基本的な特徴とし、施設外授産や職場適応訓練等の効果的な活用を図るプログラムとする。
→就労移行支援施設。概略は成功例も。

○  要支援障害者雇用(就労継続支援)型の事業については、運営主体が障害者と雇用関係を結び継続的な就労を前提とすることを基本的な特徴とするが、既存の福祉工場と異なり、障害者以外の者の雇用を可能とすること、職員・設備等の必置規制を緩和すること等を進める。
→これに関しては、A型、B型と二つに分かれたことにより、迷走
○  障害特性や年齢等により一般就労が困難な障害者については、生活福祉事業において、その適性に応じ何らかの創作活動や一定の工賃を得ることのできる活動等の支援プログラムを提供する。
生活介護
○  事業を行う上で必要となる最低限の利用者数を各事業共通で運営単位として設定した上で、当該運営単位を一又は複数の事業の合計で超えること、それぞれの事業種別ごとに設定する必要な利用者数を確保すること等を条件に複数の機能を有した多機能型の事業形態を可能とする。
→多機能型。サービス管理責任者の配置についてなど、運用面で無理があり、必ずしも成功せず。
○  各事業を通じて、利用者のプログラム等に基づく活動に伴い生じる収益について、自立支援意欲を高める観点から、利用者に還元する仕組み(工賃の支払い等)を確保する→工賃の規定については、目的達成。しかし、工賃の設定が高すぎ、現実離れをしているという批判も

○  既存のデイサービス事業のうち、憩い、生きがい等を中心とした事業は、効果的かつ柔軟なサービス提供が行えるよう個別給付ではなく地域生活支援事業の一類型と位置づける。
→地域活動支援センター。精神障害者地域生活支援センターの取り扱いをめぐって、迷走する。
○  入所施設については、新たな居住支援の体系に移行するものを除き、障害者支援施設として位置づけ、生活療養・生活福祉、自立訓練(機能訓練、生活訓練)、就労移行支援の事業を選択する仕組みとする。障害者支援施設の利用者は、当該施設以外の施設等が提供する通所型の事業を利用できるものとする。この新たな施設の設置主体に対しては、利用者の権利擁護の観点等から、通所による事業者より、厳しい規制の下に置くものとする。
→制度上はそうなったが、新体系移行については低調だった
○  障害者支援施設は地域に開かれたものとするため、選択した事業に係る要件を満たせば、入所者だけではなく地域の障害者も利用を可能とする。
→これは全くの絵空事
   (居住支援サービスの再編)
○  居住支援サービスは、障害者支援施設、障害者ケアホーム、グループホーム、福祉ホーム、居住サポート事業の5類型とし、個別給付又は地域生活支援事業の対象とする。
○  障害者ケアホームは、日中は各種通所事業を利用する重度の障害者等を対象に夜間や休日等のケアを提供する事業とする。
○  グループホームは、日中は就労や生活訓練、就労移行支援等の通所事業を利用する障害者を対象に日常生活上の世話等を行う事業とし、福祉ホームは障害者に住居を提供する施設とする。

→ケアホーム、グループホームに分けた意味があまりよくわからなくなってしまったが、制度設計上はこのようになった。○  居住サポート事業は、障害者の一般住宅への入居を推進していくため、緊急時の連絡先や身元保証を求める一般住居提供者等のニーズに対応する等の入居を支援する事業であり、障害保健福祉圏域ごとに体制整備を進める。
○  地域の居住支援サービスの充実と併せて、公営住宅等の一層の活用に向けた枠組みについて、厚生労働省国土交通省との間で検討し早急に結論を得る。

→これについては、低調。何を想定していたのかがあまりよくわからない。

 3) 権利擁護の推進とサービスの質の向上
○  相談支援体制の整備と併せて、障害者の権利擁護を推進するための体制整備を進める。
○  施設設置者、事業者等に対し、当該事業に係る主要な情報を施設内掲示等を行うこと、入所期間、退所者の状況や就労の実績などについて機能別の標準的なサービス評価基準に基づき、定期的に自己評価を行うことを義務化する。
○  障害者関係施設、事業に係る第三者による評価の仕組みを計画的に整備する。
→実施されていないのではないか

 4) 新たなサービス体系に適合した報酬体系の導入
○  現行の精神障害者社会復帰施設、福祉工場(身体、知的)の報酬については、施設単位の報酬支払方式となっているが、サービスの質と効率性の向上、制度の公平を図る観点から、施設ごとの努力・実績を反映する個人単位の支払方式に見直す。また、これに伴い、報酬請求実務の簡素化・効率化を進める。
→実施。新体系サービスへの移行義務。

○  個別給付の報酬体系も、総合的な自立支援システムの体系化による施設・事業の再編に基づき、それぞれの機能ごとに評価する仕組みとし、具体的には、次のような視点から評価を進める。また、通過することを前提とした一定の類型の施設・事業については、支給期間の有期化、評価に基づく更新制等を導入する。
→支給期間の有期化は実施。

○  施設や事業に関する報酬については、適切にコストを反映させる観点から、定期的に経営実態調査を行い、適宜、見直しを行うルールを確立する。
→実施

(つづく)
※このエントリーは、とみたの大耳小耳http://totutotu.seesaa.net/のミラーです。全く同じ文章です。