グランドデザインの通信簿(前)

 さて、自分で障害者自立支援法の総括とか言い始めているので、やらないとと、自分にムチをいれて・・・
 昨日は、午前、大学の講義が始まり、夜は京都の相楽地域の研修を頼まれていたので、間の時間をあてて、取り組み始めた。
 うー。。。けっこうたいへんだ。

 あー、lessorさんありがとうございます。のってくださって、ありがとうございます。期待しています。  

 大上段に書き始めたんだけど、かなりな量になりそうなので、ぼつぼつ、ここに貼り付けて行きたいと思います。

 まずは、ちょっと変化球。
 2004年秋にいわゆるグランドデザインがでて、そのあと障害者自立支援法にいたるわけなのですが、その間、大きな理念はほとんどかわらないまでも、結構かわった感じもあります。なので、スタートはグランドデザインにかかげたことが、冷静にみて、この5年で、行政的にできたか、どうかを採点してみましょう。

 今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)平成16年10月12日 厚生労働省障害保健福祉部は、障害者自立支援法で達成できたのだろうか?

※グランドデザインの政策的目標は以下の3つでした
 障害保健福祉の総合化 ・市町村の一元的体制 ・地域福祉の実現
年齢や障害種別等に関わりなく、できるだけ身近なところで、必要なサービスを受けながら、暮らせる地域づくりを進める
 制度の持続可能性の確保 ・給付の重点化・公平化 ・制度の効率化・透明化
障害者を支える制度が、国民の信頼を得て安定的に運営できるよう、より公平で効率的な制度にする。
 自立支援型システムへの転換 ・保護から自立支援へ ・自己実現・社会貢献
障害者が就労を含めて、その人らしく自立して地域で暮らし、地域社会にも貢献できる仕組みづくりを進める

そして、この目標・目的のために、「現行の制度的課題を解決する。
」ことと、「新たな障害保健福祉施策体系を構築する」というデザインがえがかれています。

では、勝手に採点させてもらいます。
→以下が評価です。

【グランドデザイン 通信簿】
1 現行の制度的課題を解決する。
1 市町村を中心とするサービス提供体制の確立
 1) 福祉サービスの提供に関する事務の市町村移譲と国・都道府県による支援体制の確立
  →国・都道府県による支援体制の確立は結局なされず。特に介護保険でも問題になっているように、都道府県の問題が大きい。事務の市町村移譲は進み、目標は達成されているといえよう。 
 2) 障害保健福祉サービスの計画的な整備手法の導入
→老人保健福祉計画、介護保険事業計画で成功した計画作成の手法は成功。各自治体は障害者計画を策定している。しかし、介護保険事業計画とは違い、計画が保険料とリンクしていることがないため、財源問題とリンクせず、形骸化した計画であるという批判も各地で多い。都道府県の計画は単なる市町村の積み上げにすぎず、有効なものにはなっていない
 3) 各障害共通の効果的・効率的な事務執行体制の整備
→請求事務の国保連請求は達成したが、地域生活支援事業が多すぎて、結局市町村の請求事務がすべて、効率効果的になったとはいえず。また、一部のサービスについては、国保連のシステムが未対応。
 4) 障害等に対する国民の正しい理解を深める国の取り組み
  障害者自立支援法策定プロセスにおいて、これについてはほぼ消えた項目?統合失調症への法律名称の変更はしたみたいだけど。

2 効果的・効率的なサービス利用の促進
 1) 市町村を基礎とした重層的な障害者相談支援体制の確立とケアマネジメント制度の導入
 →市町村に事務移譲が起こった関係で、福祉事務所の相談機能は、脆弱化しているため、十分な相談機能は発揮されず。また、更生相談所などは、障害者数増加のため、業務多忙、SV機能がはたせているとはいいにくい。
 2) 利用決定プロセスの透明化
→相談支援事業所の活用については、地域生活支援事業の相談支援についての未知数さ、サービス利用計画の(制度設計のまずさだが)低調さをみると、うまくいったとはいいがたい
→地域移行も進んでいないし、それにまつわる個別支援計画の作成などもとりくまれているとはいいがたい
 
3)障害程度に係る各サービス共通の尺度とサービスモデルの明確化
→障害程度区分の導入は行われた。しかし、1次判定から2次判定の変更は全体で40%をこえ、知的、精神については、50%を超え、介護保険をはるかにこえている。1次判定の不十分さが露呈。
 4) 人材の確保と資質の向上
 →相談支援専門員の研修は都道府県ごとに行われている。(質は?)
 →相談支援事業所の評価、相談支援業務の評価については、研究事業などで行われている段階

3 公平な費用負担と配分の確保
 1) 福祉サービスに係る応益的な負担の導入
 2) 地域生活と均衡のとれた入所施設の負担の見直し
 3) 障害に係る公費負担医療の見直し
 4) 国・都道府県の補助制度の見直し
→負担のありように関しては、この法律の根幹的な問題として指摘が繰り返し行われ、改正も行われ続けた。

(つづく)

※このエントリーは、とみたの大耳小耳http://totutotu.seesaa.net/のミラーです。全く同じ文章です。